「予防医学」とは、病気を未然に防ぐことだけでなく、病気になってしまってからでも進行を抑えたり遅らせることで、病気にならないための努力、そして万が一病気が発生したとしても、治せる時期に発見する努力(検診を受ける)を個人個人がすることによって、重大な病気を予防することができることです。 。
糖尿病の食事について
予防医学には、健康なからだを作って未然に病気を防ぐことだけでなく、万が一病気になってしまっても早期に適切な治療をすることでそれ以上悪化させないようにすることも含まれます。
糖尿病の食事療法などは、予防医学の分類では後者になります。
糖尿病の人は、すい臓から分泌されるインスリンが少なかったり働きが弱かったりするため、食べ過ぎによってブドウ糖が増加し過ぎると処理しきれず、血糖値があがります。
そのため、糖尿病や高血糖で、血糖値をコントロールする必要がある人は、食べ過ぎをやめて摂取エネルギーを抑えることが大切になります。
摂取エネルギーを抑えると言っても、甘いものはダメとか、主食のご飯がダメというわけではないのです。
基本的に食べてはいけないものが決まっているわけではなく、量と栄養バランスに注意します。
食事を考える際には、食品交換表を利用するとよいでしょう。
食品交換表は主な栄養成分によって食品をグループ分けしてあるため、まんべんなく栄養を摂るために非常に参考になるでしょう。
また、80kcalを1単位として表示してあり、カロリー計算も簡単にできます。
血糖値の急上昇を抑え、すい臓の負担を軽減するには、1日3食を規則正しい時間に摂ることが重要です。
インスリン分泌のリズムを乱さないよう、食事抜きやまとめて食べるのはやめましょう。
また、食物繊維も血糖値をコントロールするのに効果的です。
食物繊維は消化に時間がかかるので、血糖値の上昇がゆるやかになるようです。
海藻類やきのこ類、雑穀などを積極的に摂りましょう。
糖尿病と運動
糖尿病の予防、治療には食事と運動に気をつけなければならないことは、よく知られています。
運動をすることによって、余分なブドウ糖を消費することができ、血糖値を下げます。
運動をする上でいくつか気をつけたいことがあります。
まず、食後30分~1時間後に運動をすると効果的です。
これは、血糖値が食後の30分~1時間後にもっとも高くなるため、この間に運動をすればインスリンの働きを補助し、血糖値コントロールがしやすくなります。
毎食後、30分程度のウォーキングや体操などを行なうとよいでしょう。
もちろん、予防医学の観点からも、これらの運動は毎日続けて習慣づけないと意味がなくなります。
毎日の運動は、からだの中に増えすぎた内臓脂肪を減らすのにも効果があります。
内臓脂肪が多すぎる人は糖尿病を発症しやすいという研究結果も出ています。
次に気をつけたいのは、運動によって血糖値が下がりすぎを防ぐことです。
インスリン注射などを使用している人は、運動によって低血糖を起こしやすいので、あめやチョコレートを持ってウォーキングに出ましょう。
また、脳梗塞などの後遺症でからだに麻痺がある人は、杖や装具を使って安全に運動をしてください。
リハビリを行なうのも、食後30分~1時間後にすると効果があります。
「病気になってしまったら、あとはお医者さんにお任せ」ではなく、重症化を防いだり再発防止のために正しい食事や運動を行なうことは、自分のからだを守るために自分でできる予防医学のひとつです。
赤ちゃんの検査
先天性代謝異常検査
予防医学の中には、早期に病気の可能性を発見し対処するという要素も含まれます。
それは、さまざまな検査や健康診断の実施というかたちで行なわれます。
赤ちゃんが生まれて初めて受ける血液検査はおそらく先天性代謝異常検査です。
先天性代謝異常症とは、遺伝子の変異により特定の酵素が欠損してしまい、関係する代謝の過程に問題が生じてしまう疾患のことです。
発生する頻度は数万人に1人とごく少ないのですが、知的な発育が遅れたり、身体的に異常が生じるなどの障害が発生します。
先天性代謝異常症は治療が困難なものが多いのですが、中には早期発見、早期治療により知的障害に陥るのを予防することでもあります。
検査は大抵、出産後の入院中に(5~7日目)に行ないます。
赤ちゃんのかかと部分から採血し、検査結果が出ます。
赤ちゃんの採血をする際に母親が立ち会うかどうかは、その病院の方針によるかもしれませんが、もし赤ちゃんがびっくりして泣いてもそんなにたくさんの血を採るわけではないので心配はいりません。
ホモシスチン尿症、フェニールケトン尿症、メイプルシロップ尿症、ガラクトース血症、クレチン症、副腎過形成症、の疾患について調べます。
先天性代謝異常の治療は、このように生まれて間もない時期に検査、発見し、症状が現れる前に適切な治療を開始することが必要とされます。
このような、病気の可能性を発見し重症化を防ぐための検査も予防医学のひとつなのです。
赤ちゃんが元気にすくすく育つことを願い、ぜひ受けていただきたい検査です。
花粉症にシソジュース
寒い冬が終わり、なんとなく空気が春めいてくると気分がうきうきする人もいれば、「またこの季節が来た~」と憂鬱になる人もいるのではないでしょうか。
それは、花粉が飛び始める季節が来るからです。
スギ花粉症の場合、2月~4月頃が、症状のピークになります。
ただこの時期がくるのを待ち構えているだけでなく、何か対策をして予防医学の実践に努めてみましょう。
花粉症の症状に効くというお茶やキャンディーなど、いろいろなものが発売されていますが、ここで、シソ(大葉)ジュースを紹介します。
シソには豊富なカロテンが含まれ、その成分は粘膜や皮膚を保護し、抵抗力を強くします。
シソジュースの作り方です。
材料は「シソ100g、水1.8リットル、砂糖100~150g、レモン汁またはクエン酸大さじ3杯」です。
1.8リットルの水を沸かし、そこに水洗いしたシソを入れて5分間ゆでます。
お湯の色が琥珀色になったらシソの葉を取り出します。
お湯が熱いうちに砂糖とレモン汁を入れて好みの味にします。
飲むときは水で2倍に薄めます。
冷蔵庫で2ヶ月ほど保存できます。
取り出したシソの葉も、刻んで胡麻和えやマヨネーズ和えにして食べられます。
鼻や喉、目がむずむずし始めてから飲むより、それ以前から毎日飲む習慣をつけたほうが効果があります。
最近は子どもの花粉症も増加しています。
治療のためには耳鼻科受診も必要ですが、予防医学は家庭でもできるので、お母さんが症状緩和のケアをしてあげましょう。
お酒との付き合い方
「適度な飲酒はからだによい」というのは、お酒好きな人が予防医学を口実にお酒を飲むために言っているのではなく、本当の話です。
実際に多くの人が経験するのは、食欲増進の効果です。
これはアルコールの刺激により胃液の分泌が盛んになるからです。
食欲がわく、というのは元気な証拠ですが、肥満や糖尿病などを患っている人には逆効果です。
また、お酒を飲んでほろ酔い気分になると、日ごろの精神的な緊張がほぐれ、リラックスします。
このように日々のストレスから開放される効果も期待できます。
飲酒により血液中の善玉のHDLコレステロールを増やす効果もあります。
「適度な量」というのは、1日に平均純アルコールで20g程度の量のことで、ビールなら中ビン1本、日本酒なら1合、ワインならグラスに2杯、ウイスキーはダブルで1杯くらいが目安です。
この量に自制が難しいという人は、思い切って禁酒をするほうがいいでしょう。
なぜなら、大量の飲酒は脳梗塞の引き金となります。
お酒には利尿作用があるため、脱水症状を起こしやすく、血液の粘性が増し、血栓ができやすくなります。
病気を予防し、健康のために飲むのであれば、少量にとどめましょう。
「適量の飲酒は健康にプラスである」というのは、もともと過剰に飲酒していた人に対して予防医学の観点から「適量の飲酒」を勧めるものであって、今までお酒を飲まなかった人に飲酒を勧めるものではないようです。
水分補給の大切さ
人間のからだのおよそ60%が水分でできています。
そして人間は汗や尿で水分を排出し、また新たに水分を補給して、体内で水を循環させることで健康なからだを維持しています。
摂取した水分は、血液に混ざり毛細血管を通って脳まで運ばれます。
また酸素や栄養素を、体の隅々の細胞へ届ける役割も果たしてくれます。
血液成分のうち、およそ60%が液体成分のため、水分が不足すると血液の粘性が増し、流れが悪くなります。
血液の流れが悪くなると、酸素や栄養素を細胞へ届ける働きも十分に果たせなくなり、その結果、からだの調子を崩します。
病気にかかりにくい健康なからだを作る予防医学の実践方法としても、水分補給は欠かせないのです。
1日に約1.5~2リットルの水分が必要だと言われますが、水分の多い食事を摂るとそこからも補給できますので、他に飲料として1リットル位摂れるとよいでしょう。
コーヒーやお茶などでも水分補給はできますが、効率よく水分をからだに補給するためには、水そのものを飲んだほうが効果があります。
からだの水分が不足して脱水になると、血液の粘性が増して血管がつまりやすくなります。
脳梗塞の予防医学に気をつけている人は、なおさら水分補給にこころがけてほしいと思います。
特に年齢を重ねてくると、喉の渇きを感じにくくなります。
喉が渇いたから水を飲む、というタイミングでは水分が十分に補給できなくなりますので、こまめに水分を摂ることを日頃から習慣づけましょう。
睡眠時間について
予防医学とは、字の通り、病気にならないように未然に防ぐことが予防の医学です。
病気にならないからだを作るために生活習慣などを正すことを言います。
「予防医学」と聞くとなんだか難しいことのように思えるかもしれませんが、医療の専門家ではない私たちでも毎日の生活の中で行なえます。
では、具体的にはどんなことに気をつければよいのか、
睡眠についてのお話をしたいと思います。
睡眠はなぜ必要なのか知っていますか?
睡眠不足がいかに翌日の体調にマイナスに影響するのかは、体験的に知っている人も多いと思います。
徹夜明けでは妙にテンションが高くなったり、かと思えば急にだるさを覚えて動けなくなったり、とにかくからだが無理をしていることが自覚症状として現れてきます。
しかし睡眠不足はからだだけでなく、脳にも悪影響を与えます。
普段、人間は睡眠によってからだだけでなく、大脳も休ませます。
眠っている間に大脳は、休息と翌日に向けてのメンテナンスを行なっています。
睡眠時間が短ければ、大脳がメンテナンスにあてる時間が確保できないため、さまざまな情報を処理する能力が衰え、活動的に物事を考えることができなくなります。
よって睡眠不足により、からだばかりでなく、気持ちの面でも不健康になってしまいます。
日本人は、ほかのどこの国よりも平均睡眠時間が短いそうです。
仕事や趣味、またその人がこれまで続けてきた習慣により、ちょうどよい睡眠時間は人それぞれだと思いますが、平均7~8時間の睡眠をとると体に一番いいようです。
睡眠時間が短くなるほど、死亡率が高くなっているという調査結果もあるようです。
睡眠に関する健康法
自分の健康に気づかい、病気を寄せ付けないからだを作るために日々努力をしている人が増えています。
自分のからだは自分で守る時代になり、予防医学の大切さが認識されています。
でも、予防医学を実践するのなら、毎日無理なく続けられて、習慣化しやすいものがいいでしょう。
ここで、毎日の生活の中、とくに睡眠に関しての健康になれる工夫を紹介します。
1つ目は、疲れたときには思い切って昼寝をすることです。
昼寝には、たまった疲れを回復させる強い力があります。
ただし長く寝るのは生活のリズムを崩しますので、20分から長くても1時間程度にしましょう。
昼食後の時間が理想的な昼寝タイム(保育園で子どもが昼寝するのもこの時間)ですが、無理なら時間を見つけてちょっと横になるだけでも疲労回復に効果があります。
2つ目は、寝る前と起きたときに軽く運動をしてみましょう。
あぐらをかいて深呼吸、両腕を上げてバンザイをする、立って前屈・後屈をする、首を回す、この程度の軽い運動で十分なのです。
寝つきや目覚めがよくなります。
3つ目は、寝る前に5分程度、足の裏のマッサージをしてみましょう。
両足のかかと部分には安眠を促すツボがあるので、そこを指の腹で押してみます。
4つ目は、朝起きたら部屋の窓を開けることです。
からだが活発に動くために必要な酸素を、一番に取り込んでからだも頭もシャキッと目覚めさせます。
このほか、寝るときは下着を着けないで寝ると皮膚呼吸が活発になるという話もありますが、これは慣れない人が実践すると、かえって落ち着かず眠れません。
何かを新しく始めるより、毎日の生活の中で、ちょっとだけ工夫をして変えてみるというやり方なら、今すぐにでもできます。
自分と家族の健康を守るための習慣を始めましょう。